内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました
 今日は早番。待ち合わせまで時間はたっぷりとあるから、久しぶりに服も買っておしゃれをしてみよう。

 兎にも角にもうれしいな。
 こんな近くに悠がいたなんて。なんだか夢みたい。



「ただいま戻りました」

 店長のミノルさんが振り返る。
「お疲れさま。あれ? なんかいい事でもあった?」

 え、そんなに顔に出ていましたか。

「懐かしい友だちに会ったんですよ」

「あら? もしかして男?」
 店長は片方の眉を上げて疑わしそうにニヤニヤと、私を見下ろす。

「残念でしたー。男性ですけど、別になんでもないでーす」

「もう、千絵ちゃんってほんとにつまんない子ねぇ」

 顔をしかめる店長は、雑誌にも掲載される有名なフローリストで、店長ご指名の仕事が、店の売り上げの半分を占めると言ってもいい。

 背は高く、線が細くてサラサラの髪は長い。見た目も名前も男性のミノルだが、店長の今の恋人は男性だ。時には女性の恋人がいたりもする恋愛自由人である。

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