内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました
 母のその後については情報もないし、なにも知らない。母の実家である岡山にでも行けばわかるかもしれないけれど、そうしようとも思わないし。

 実際のところ、今聞かれるまですっかり忘れていた。

 そんな縁のない〝もと親〟でも、血縁者のわからない悠からみれば、家族に思えるのだろうか。

 だから、そんなふうに心配そうに聞くのかな。

「悠はあれからどうしていたの?」

「うん。色々あってね」

「私あの後ね、会いに行ったんだよ? でももう悠はいなかったんだ」

 無事に父が退院し、また三人で暮らし始め、あらためて悠に会いに行った時はすでに悠はいなかった。

「それは申し訳なかったね」

 施設の職員も、なぜか悠の行き先を教えてはくれなかった。他の施設に移ったのか、誰かに引き取られたのかさえ、口を閉ざしたのである。

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