内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました
 悠は、私の背中を押すようにして、バスルームに向かう。っていうか、部屋から丸見えのバスルーム?

 こんなのありなの。

 驚く間もなく脱衣場に入り、悠が私の頬を両手で包み込んだ。

「千絵、ありがとう」

 もう一度、耳もとで「うれしい」と囁いて、ゆっくりと唇を重ねた。

 胸がキュンと疼く。

 私も悠にとっても、ファーストキス。
 唇から気持ちが通うような、うっとりする優しい口づけ……。

 キスって、こんなに心が温まるんだね。

 ドキドキしながら、私は背伸びをして悠の首に手を回した。

 それに答えるように、悠は私をきつく抱きしめて、何度もキスをして、角度を変えて繰り返し、繰り返し。

 唇の間から舌が――。

「あっ――んんっ」

 ちょ、ちょっと待って、悠、本当に初めてなの?

 こ、このキスは、上級者向けだって!

 戸惑う間にもワンピースのファスナーは下ろされていた。

「千絵、綺麗だ」

 それでも照明を落としてくれたのは、悠の優しさなのか。
 いきなりふたりでシャワーだなんて、ハードルが高すぎると思ったけれど。
 薄明かりの中で、きめの細かいボディーソープを体に塗りあって。キスを繰り返すうちに――。

 恥ずかしさは、泡と一緒に消えていた。

「悠……」



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