内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました

 っていうか、悠って本当に経験ないの、あれで?

 口では『言ってくれないとわからないよ。どこがどう気持ちいいの?』『これいい?』などと、純情ぶるわりには、まったく動きに迷いがなかったと思う。

 もともと器用だから?

 ふいに悠の長い指を、思い出した。

 一本の指が私の背中をなぞり、唇がうなじを這い上がって、耳もとで息を吹きかけるように囁いて……。

『千絵の肌、すべすべだ』

 まざまざと蘇る甘い記憶に熱がこみ上げ、思わずゴクリと喉が鳴る。

 悠、あなた、緊張なんかしてなかったよね?
 手慣れた感じに思えたけど、どうなの?

 私は本当に初めてだからわからない。ほかの人と比べようがないのが、もどかしい。

『千絵、すごいな。こんなに――』

 あー、もうだめだめ!
 頭の中から消えて!

 振り回されちゃいけない。
 夕べの出来事は、大人の女性なら誰しもが通るただの経験にすぎないの。
 そうよ、親しい友人に協力しただけなんだから。

 ぺしぺしと両頬を叩いた。

 あ……。それよりちょっと。

 スマホを手に取って、慌てて調べた。

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