内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました
「ちっ、やっぱり千絵さんもイイ男には目がないかー」

「目の保養はしなきゃ。ヒサ君だって美人なお客さんには、鼻の下伸ばしてるじゃん」

「そりゃそうだ」

「で、どこよ。イケメン御曹司」

 悠以上のイケメンなんてそうそういないわよと思いながら、ヒサ君を急き立てる。

「あそこ」

 信号で停車すると、ヒサ君はハンドルに覆い被さるようにして首を右に回した。

「あの人すごいっすよねー」

 ヒサ君が軽く指差す方向を視線で追えば、ちょうどシルKUのオフィスビルが見える。

 ん?

 今、車の後部座席に乗ろうとしているのは――悠?

「すごいって、あの、黒塗りの車に乗る人?」

「はい。あの歳で副社長だそーですよ」

 えっ、副社長?

 言われてみれば、年上の人たちが悠に従うような仕草を見せている。悠のために車のドアを開け、悠に向かってふたりの社員がペコペコと頭を下げて。

「うらやましいっす」

 ちょっと待って、悠がシルKUの副社長?
 嘘、だってそんな……。ありえないって。

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