内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました
 いまわの際で『悠、この人を頼りなさい。あなたの父親よ』と連絡先を書いた父の写真を渡してきた母は、どんな気持ちだったのか。

 母は父をどう思っていたんだろう。

 児童養護施設で、僕はずっと考えていた。

「とにかく、カレンにバレていても別にいいんだ。僕にはその気がないって伝わればね」

「それで、セックスレスの宣言をされて、カレンはなんて言ったんだ?」

「『大丈夫よ。今は体外受精っていうのがあるから』ってさ」
 ゲラゲラと楽しそうに仁が笑う。

「そりゃ手強いな。でも結婚するなら、そういう子がいいんじゃないのか。カレンなら悪い噂も聞かないし、お前には向いているだろ」

「向いてる? 僕に?」

「ああ。お前を理解してる。見かけじゃなく中身をな」

「理解ね」

「ああ。そこまで言われても結婚したいっていうんだ。お互いに割り切った似たもの夫婦になれる」

 なるほど。選択としては悪くないかもしれない。このままレールの上をいくならばそんな結婚もありなんだろう。だが――。

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