内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました
「そろそろ、潮時かもしれないと思ってるんだ」

「ん? もしかして――」

「うん。準備は整ったし。あとはきっかけさえあれば」

「そうか」
 仁は考え深げにため息をつく。

「いつかは、独立したいって言ってたもんな」

 双子が生まれた時から、具体的に考えていた。

 仕事がおもしろくなって、つい長居をしてしまったが、計画では三十を待たずに家を出るつもりでいた。

 制約がある中でも、いくらかの布石は残せたと思う。

 次世代に残したい優秀な技術者や人材を見つけ出し、腐らせないよう信頼のおける上司につけた。シルKUの未来は、いくらかでも明るくなっただろう。

 それくらいしかできなかったが。

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