やわく、制服で隠して。
「ほら。早く着替えて。」
「本当に着るの?」
「まふゆだって一回くらいはブレザーも着てみたいだろ?」
「私は別に…。」
正直、自分が“コスプレ”をすることには興味が無かったし、知らない人が三年間着ていた制服を着ることにも抵抗があった。
彼の親戚だからと言っても、私の親戚なわけじゃ無い。
その人がどんな人だろうが、私にとっては、知らない人は知らない人だ。
「私はちょっと…いいかな。」
「は?何で?」
彼の目の色が変わった。
さっきまでは穏やかにニコニコと笑っていたのに、パッと切り替わった表情には、怒りが滲んでいる。
「だって…、誰かが着てた制服ってちょっと…。」
「どっかの誰かも分かんない奴じゃないだろ。それって俺の身内を否定してるってことになるけど?」
「違う!そんなんじゃ…!」
「だったら早く着ろよ。まふゆがどうとかじゃなくて、俺が見たいって言ってんだから。」
勝手な主張だって思った。
どんな趣味を持っていようが、その趣味を否定するつもりは無い。
だけどそれを強要されるのは、違うって思った。
だけど、ヤバイって思った。
彼の目を見ていたら、逆らったらきっとヤバいことになる。
その制服にそっと手を伸ばして、掴んだ。
自分が来ているセーラー服よりも重たい気がした。
「リビングで…待ってて…。」
「ここで待ってるよ。セーラー服脱ぐシーンも貴重だし。」
「そんなところっ…わざわざ今見なくったって…!」
「いつもは俺が脱がせてるだけじゃん。自分で脱いでるところも見ておきたいんだよ。」
穏やかな笑顔なんかじゃない。
ニヤニヤと口角を上げるその顔は、私の知っている彼じゃなかった。
今まで、そういう前兆を感じなかったわけじゃない。
彼の言動や趣味、コレクション、街中で注ぐ視線。そういった物から、ひょっとして…と思ったことは何度かある。
制服のリボンを外した。
指が震えている。単純に、怖かった。
やっぱりやめようって、嫌だって言ったら何をされてしまうんだろう。
前開きタイプのセーラー服のファスナーをゆっくりと下ろす。
下着が透けないように重ね着していたインナーが露わになる。
スカートを足首まで下ろして脱ぐ時も、彼は感嘆のような溜め息を漏らした。
肌にぷつぷつぷつ、と鳥肌が立っていくのが自分で分かった。
最後にブレザーに袖を通そうと伸ばした手を、彼が静止した。
「一回座って。」
静かに言った彼に従って、ベッドに座った。
私を見下ろして、ゆっくりと眺めた後、彼もしゃがんで片膝を付いた。
彼が触れてきたふくらはぎがビクッと震える。
そっと靴下を下ろしていく彼の指。体が硬直したまま動けなかった。
「本当に着るの?」
「まふゆだって一回くらいはブレザーも着てみたいだろ?」
「私は別に…。」
正直、自分が“コスプレ”をすることには興味が無かったし、知らない人が三年間着ていた制服を着ることにも抵抗があった。
彼の親戚だからと言っても、私の親戚なわけじゃ無い。
その人がどんな人だろうが、私にとっては、知らない人は知らない人だ。
「私はちょっと…いいかな。」
「は?何で?」
彼の目の色が変わった。
さっきまでは穏やかにニコニコと笑っていたのに、パッと切り替わった表情には、怒りが滲んでいる。
「だって…、誰かが着てた制服ってちょっと…。」
「どっかの誰かも分かんない奴じゃないだろ。それって俺の身内を否定してるってことになるけど?」
「違う!そんなんじゃ…!」
「だったら早く着ろよ。まふゆがどうとかじゃなくて、俺が見たいって言ってんだから。」
勝手な主張だって思った。
どんな趣味を持っていようが、その趣味を否定するつもりは無い。
だけどそれを強要されるのは、違うって思った。
だけど、ヤバイって思った。
彼の目を見ていたら、逆らったらきっとヤバいことになる。
その制服にそっと手を伸ばして、掴んだ。
自分が来ているセーラー服よりも重たい気がした。
「リビングで…待ってて…。」
「ここで待ってるよ。セーラー服脱ぐシーンも貴重だし。」
「そんなところっ…わざわざ今見なくったって…!」
「いつもは俺が脱がせてるだけじゃん。自分で脱いでるところも見ておきたいんだよ。」
穏やかな笑顔なんかじゃない。
ニヤニヤと口角を上げるその顔は、私の知っている彼じゃなかった。
今まで、そういう前兆を感じなかったわけじゃない。
彼の言動や趣味、コレクション、街中で注ぐ視線。そういった物から、ひょっとして…と思ったことは何度かある。
制服のリボンを外した。
指が震えている。単純に、怖かった。
やっぱりやめようって、嫌だって言ったら何をされてしまうんだろう。
前開きタイプのセーラー服のファスナーをゆっくりと下ろす。
下着が透けないように重ね着していたインナーが露わになる。
スカートを足首まで下ろして脱ぐ時も、彼は感嘆のような溜め息を漏らした。
肌にぷつぷつぷつ、と鳥肌が立っていくのが自分で分かった。
最後にブレザーに袖を通そうと伸ばした手を、彼が静止した。
「一回座って。」
静かに言った彼に従って、ベッドに座った。
私を見下ろして、ゆっくりと眺めた後、彼もしゃがんで片膝を付いた。
彼が触れてきたふくらはぎがビクッと震える。
そっと靴下を下ろしていく彼の指。体が硬直したまま動けなかった。