離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました
 年末になるとたちばなの忙しさはさらに増した。

 なんとか必死に食らいついて仕事をこなしてはいても、そこに心の余裕はかけらもない。

 若女将としての時間と楓香の母親としての時間が同時に押し寄せるのもあり、自分がキャパシティを超えているのを感じた。

 だからといって部屋に引きこもるわけにもいかず、疲れた自分を騙し騙し業務にあたる。

「咲良、ちょっといいか」

 客室から受付へ戻ろうとした私を、通りがかった智秋が呼び止める。

「どうかしたの?」

「これあげる」

「んむ」

 智秋が私の口に放り込んだ甘味が舌の上でふわりと溶けていく。

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