離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました
 和三盆だ。ほっとする甘さが後を引かずに口の中から消える。

「ん、いい顔になった。午後も頑張っておいで」

 それだけ言い残して智秋は颯爽とその場をあとにした。

 そんなに悪い顔をしていたのかと廊下の窓に映る自分を確認する。

 少し疲れたように見えるがそれだけだ。

 しかし甘味に癒やされるまではもっと張り詰めた表情だったのだろう。

 誰にも指摘されなかったからうまく隠せていると思っていたが、智秋には見抜かれたようだ。

 智秋の方がよほど忙しいだろうに、わざわざ私に食べさせようと和三盆を用意していたのかと思うと小さなときめきを感じる。

 私を大切にしてくれる智秋がやっぱり好きだ。
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