離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました

「よし、頑張ろう」

 わざと声に出して言い、改めて気を引き締める。

 智秋が好きだから、彼のために完璧な若女将でありたい。

 楓花の母親だから側にいていいのだと甘えたくはなくて、自分なりの価値をちゃんと見せていきたかった。

 だが午後を過ぎてしばらく経った頃、困ったお客様がたちばなを訪れた。

「ええ? 泊まりたいって言ってるのになんで部屋を用意してもらえないんだよ」

 男女ひと組のお客様は急な宿泊を希望していた。

 男性は大柄で、屋内だというのにサングラスをかけており、私がなにか答えるたびに舌打ちをする。

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