離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました
 目にも楽しい京料理を存分に味わってからの温泉はまた格別で、ご褒美と呼ぶにふさわしい贅沢な時間となった。

「あれ?」

 浴衣を着てライトアップたちばなの庭園をぐるりと一周した帰り道、不意に立ち止まった母が自身のキーケースを見て声を上げる。

「どうしたの?」

「お守りがないの」

 見ると、父が結婚前に母へ送ったという形見のお守りがなくなっている。いつもは赤い布製の小さなお守りがキーケースを彩っていた。

「どこかで落としちゃったのかも。きっとこの辺にあるよ。探しに行こう」

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