離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました
 智秋はわかりやすいようでいて本心を掴ませてくれない食えない性格の人だ。

 初めて出会った頃のようにもう少し違和感を覚えられたなら、もっとはっきり私への気持ちを理解できた。

 間違いなく恋愛感情を持っておらず、楓花の母として好意的に接してくれているだけだとわかれば私だって割り切れたかもしれない。

 あの頃よりも智秋の心がわからないのは、私自身が心のどこかで真実を知りたくないと思っているからだろうか。

 私に愛情があるのかもしれないと希望を抱いていたい。

 好きだと明かせば曖昧な部分が明確になるから、いつまでも言えずに呑み込んでいる。

 私はたぶん、ずるいのだ。

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