離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました
 私を抱き寄せる腕に従い、智秋の肩に寄り添った。

「今回はなにもなかったんだし、もう謝らなくてもいい。次からふたりで気をつけていこう」

 なにも言えずにうなずくと、頭を撫でられる。

 楓花の寝息が聞こえる中、しばらくして智秋の方から口を開いた。

「俺もちょっと冷静じゃなかったな。ああいうときにしっかりしなきゃならなかったのは俺だったのに」

 髪に指を絡めていた手が止まる。

「実は昔、誘拐されてさ」

「……誘拐?」

 初めて知る事実に驚き、聞き返してしまう。

 智秋は苦笑しながらうなずき、私の肩に手を回した。

< 158 / 235 >

この作品をシェア

pagetop