離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました
「なんで知って――んんっ」

 智秋は服の中で手をさまよわせながら私の耳の縁を唇で食んだ。

 微かに濡れた感触は震えるほど甘く私を蕩かしていく。

「咲良は初めての夜がどうだったか忘れた? どんなふうに触れたら喜ぶのか、俺にすがりついて甘えてくれるのか、俺は全部覚えてるよ」

「あ……」

 指の先が私の弱点をかすめそうになって身体に緊張が走る。

「期待したんだな」

 私の反応を一瞬も見逃さない智秋に指摘され、かっと顔が熱くなるのがわかった。

 たったひと晩の思い出を忘れられないのは私だけかと思ったのに智秋もちゃんと覚えている。

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