離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました
 私を見つめる瞳がやけに真剣だからだろうか?

 明らかに彼は私に興味を持っている。大勢いる客のひとりから私という個を今、認識したのを感じた。

「本当に失礼を……すみません」

 日中、母と楽しく遊んだせいで疲れておかしくなったとしか思えない。

 頭を下げると、小さな笑い声が聞こえた。

「俺と結婚しない?」

「え」

 一連の流れとまったく話が繋がっていない。

 顔を上げた私が見たのは、相変わらず愛想のいい笑みを浮かべる橘さんだ。

 しかし目が笑っていなかった。探るように私を見つめ、捉えている。

「え、と……結婚? おもしろいことを言うんですね」

< 29 / 235 >

この作品をシェア

pagetop