離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました
 私のグラスはとっくに空になっていた。

 冷静に別れを迎えたくなくて、さっさと酔いたかったから。

「ご両親についても最後までよくわからなかったな。あと、弟の深冬さん。仲がいいんだよね?」

「少なくとも俺は深冬をかわいい弟だと思ってるよ。あいつは反抗期だからお兄ちゃんにあれこれ言われるのが鬱陶しいみたいだけど。そういえば結婚の話も教えてなかったな。教えておけばよかった」

 嘘だと思ったが言わないで呑み込む。

 智秋は私がそうしてほしいと言っても深冬さんに契約結婚の事実を伝えない。

 別れの瞬間までこの男は好感度が下がらないよう心を取り繕うのだ。

< 45 / 235 >

この作品をシェア

pagetop