離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました
 焦げ茶色の瞳には私しか映っていなかった。

 彼がこんなふうに誰かを見つめるなんて知らなかった。その相手が私だなんて夢を見ているみたいだ。

 彼の言う思い出がなにを示しているのか不思議とすぐにわかった。

 夫婦でいるのは今夜だけ。夫婦らしい触れ合いも今夜を逃せば、もう。

 どうして急にそんな提案をするの、と喉まで出かかった言葉を呑み込んでお腹の奥へ追いやる。

 最後の夜だから? 私が思い出を望んだから?

 どんな理由でも構わなかった。私と線を引いてきた智秋が初めて自分から踏み越えたのだ。断る理由がない。

「じゃあ……明日の朝まで」

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