離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました
 私以外を映したくないとでもいうように、彼の目は片時も逸らされなかった。

 温和で愛想のいい老舗旅館の若旦那。そして私の契約結婚の相手。

 それ以外の智秋の姿を、妻から他人になる今日知るなんて。

「あ、やっ」

 噛まないでと頼んだのに智秋は私の鎖骨を再び甘噛みした。

 肌を強く吸い上げられて悲鳴を上げると、大丈夫だと言葉の代わりになでてあやされる。

 智秋は私に触るのがお気に入りらしく、リビングでくつろいでいるときや眠るときによく頭や頬をなでた。

 寝室が別々だからとわざわざ私の部屋まで来て触っていくのだから、人にちょっかいをかけるのがよほど好きなのだろうと思っていたが。

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