カクレンボ

 その流れでわたしたちも知らず知らずのうちに仲良くなっていた。

 料理に集中してるのか雪からの返事がない。

 
  

「できたよー」

 雪がカレーライスの入ったお皿を丁寧にカウンターに二皿ずつ並べていく。

 見るだけでも空腹が満たされそうなくらい美味しそうだ。

 4皿並んだカレーにスプーンをさした。

「うまそー!」

 空が机に並べながら言う。今にも食べたそうだ。

「じゃあ食べよ」

 雪の言葉をスタートピストルにして、空、桜とスタートを切る。

「いただきます」

 手を合わせたわたしはそう言って、カレーにスプーンを伸ばす。

 うん。やっぱりどこの料理よりもおいしい。



 お食事会も終了しそれぞれが帰宅することになった。
 
 空が雪の家に泊まろうとしていたけれど、夜道に女の子1人歩かせるのは怖いと雪がいったのを渋々受け入れていた。

 部屋が隣とはいえ、わたしもそろそろ帰らなければならない。

 桜と空と一緒にわたしは雪の部屋を出た。

「バイバイ」
 
 ただそれだけの言葉を言うのが何故かとても寂しかった。
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