カクレンボ

桜と空と話しはじめたのだって、雪が一番に話かけたことがきっかけだ。

 お母さんに連れてこられたファミレスで、向こうは盛り上がる中、わたしたちは静寂の一時を、会話のない時間がすぎるのを待つだけ。

 話し始めたと思えば空と桜がちょっかいを掛け合っているだけ。

 その後に行った公園でもわたしたちは広い敷地の中で小さく固まるだけ。

『ねえねえ、かくれんぼしようよ!』 

 それはまるでもとから仲が良かった人に言うようなテンションだ。わたしと話しているときのような。

 なんてかくれんぼなのかなんてどうでも良かった。単純に雪がすごいと思った。

 わたしは即座に頷いたけど、二人は少し戸惑いがあるみたいだった。

 お互いの顔を見合ってアイコンタクトでどうしたいか話しているみたいだった。  

『い、いいよ』

 桜とちょっかいかけあってたときとはだいぶ違うおとなしい声だったけれど、賛成の意見をくれたことがうれしい。断られてたら雪が、見るに堪えない姿になるかもしれなかったし。

 最初は雪がみんなのリーダーみたいなところがあったけれどいつの間にか空がリーダーみたいになっていた。人見知りが出始めたから?
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