カクレンボ

「今年は積もってほしいね。去年積もらなかったから」
「そうだね、わたしも大きな雪だるま作りたいし」
 なんて未来を描いても、降る雪は雀の涙程度。
 到底積もるなんて思えないけど、ゆきといると本当にそうなってしまうんじゃないかと思ってしまう。実際に叶ったこたとなんて一度もなかったのに。
「風邪引くと行けないし、僕入るね」
「うん。バイバイ」
 雪が手を振ってきたので、わたしも手を振って雪が見えなくなるのを確認してから部屋に足を入れた。



「あちゃ…降ってんな」
 一年の締めくくりで、二学期の終わる日が雨だとテンションが下がる。
 空がわかりきっているのに見上げた雲から雨が降っていることを確認した。
 今日は最近にしては珍しく雨が降っていて、授業中も雨の音でついつい外を見てしまうくらいだ。今は少し雨足が落ち着いている。
「男二人はなんで傘忘れんのよ。ほんとおっちょこちょい」
「仕方ないだろ、午前は晴れるって書いてあったんだから。な?ゆき」
「え?何で僕?」
「午後のとこ見なさいよ!このバカ!」
 幸いにも女子二人は傘を持ってきている。
 空みたいにおっちょこちょいでも頭のネジが抜けているわけでもないからちゃんと1日の天気を確認して傘を持ってきた。
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