カクレンボ
「告白とか、されたことないの?」
「…一回だけ。ある」
「初耳だな」
心当たりを見つけ、私は目線を反らした。
実は中学1年生の春。一度だけ見ず知らずの男の子に告白されたことがある。後にその子が同級生だと気づいたけど、その子いわく一目惚れだったらしい。驚いた。どんな感情よりも先に現れた。でも私はその場で断った。驚きはしたものの、私は冷静だった。断ったときに相手の子はまあそうだろうとは思ったとでと言うように頷いて何も言わず去っていった。一瞬腹がたった。ぶっつけ本番でそんなこと言って、それも半分諦めた上での告白。そんなものに嬉しさなんて一切ない。不思議な人だった。
自分でも断った理由はよくわかっていない。単純に初対面の人と付き合うのが怖かっただけ。そういう結論に至っている。断ったことに対しての後悔はもちろんしてない。相手に対して少しは謝罪の意はあるものの、これで良かったと思う。どうせ続かなかっただろうし、付き合った事自体を後悔しそうだから。
「それっきり。この人以外に告白されてないよ」
一通り説明して私は話を結んだ。まず私は、恋という感情を知らない。だれかを好きになるだとか、特別な思いを持ったことがない。友達としては何人もいる。もちろんここのみんながそのたとえ。
「おお。そりゃモテるよこんなに可愛かったら」
空くんは頬杖をやめ上に大きく伸びた。
なんだろう。空くんとは今までそんなに関わってこなかったから、こんなにまじまじと話す機会なんてなかった。同じ空間を共有した時間は他のふたりと変わらないのに、今でも新鮮味がある。可愛いと言われ慣れてなくて少し照れる。
「はずかしい」
同性に言われるのと異性に言われるのとでは意味が違ってくる。体の中が暑くなり火照るのがわかる。
「照れんなよ。そういうとこ桜に似てるのな」
「桜ちゃん照れるようなことあるの?」
「あたりまえだろ。あいつ一応人間だぞ」
「一応って」
「この前だって告白したと…」
「ただいまー」
「おー!おかえりー」
「ちょっと、今なんて」
聞き間違い?でも今。
空くんは何事もなかったかのようにふたり廊下へと顔を出した。さっきのは何だったんだろ。
私が先に聞いたのは桜ちゃんが空君に告白するってこと。空くんは、過去形。つまり告白は済ませているということになる。どっちが、正しいことを言ってるの…。
「…一回だけ。ある」
「初耳だな」
心当たりを見つけ、私は目線を反らした。
実は中学1年生の春。一度だけ見ず知らずの男の子に告白されたことがある。後にその子が同級生だと気づいたけど、その子いわく一目惚れだったらしい。驚いた。どんな感情よりも先に現れた。でも私はその場で断った。驚きはしたものの、私は冷静だった。断ったときに相手の子はまあそうだろうとは思ったとでと言うように頷いて何も言わず去っていった。一瞬腹がたった。ぶっつけ本番でそんなこと言って、それも半分諦めた上での告白。そんなものに嬉しさなんて一切ない。不思議な人だった。
自分でも断った理由はよくわかっていない。単純に初対面の人と付き合うのが怖かっただけ。そういう結論に至っている。断ったことに対しての後悔はもちろんしてない。相手に対して少しは謝罪の意はあるものの、これで良かったと思う。どうせ続かなかっただろうし、付き合った事自体を後悔しそうだから。
「それっきり。この人以外に告白されてないよ」
一通り説明して私は話を結んだ。まず私は、恋という感情を知らない。だれかを好きになるだとか、特別な思いを持ったことがない。友達としては何人もいる。もちろんここのみんながそのたとえ。
「おお。そりゃモテるよこんなに可愛かったら」
空くんは頬杖をやめ上に大きく伸びた。
なんだろう。空くんとは今までそんなに関わってこなかったから、こんなにまじまじと話す機会なんてなかった。同じ空間を共有した時間は他のふたりと変わらないのに、今でも新鮮味がある。可愛いと言われ慣れてなくて少し照れる。
「はずかしい」
同性に言われるのと異性に言われるのとでは意味が違ってくる。体の中が暑くなり火照るのがわかる。
「照れんなよ。そういうとこ桜に似てるのな」
「桜ちゃん照れるようなことあるの?」
「あたりまえだろ。あいつ一応人間だぞ」
「一応って」
「この前だって告白したと…」
「ただいまー」
「おー!おかえりー」
「ちょっと、今なんて」
聞き間違い?でも今。
空くんは何事もなかったかのようにふたり廊下へと顔を出した。さっきのは何だったんだろ。
私が先に聞いたのは桜ちゃんが空君に告白するってこと。空くんは、過去形。つまり告白は済ませているということになる。どっちが、正しいことを言ってるの…。