カクレンボ
「そろそろ戻らない?2人共待ってるし」
「それもそうだな。まあどっかの誰かさんがはぐれてくれたおかげで、こうやって話もできたし」
「空くん」
私は頬を膨らませる。空くんは悪い笑顔で笑った。
「そう言えばお前雪のこと好きなのか」
ふたりのところへ戻る途中、ふとした時に空くんが口を開いた。私は思わず動きが止まった。
「べ、別に好きじゃ…」
「桜も中々いい観察眼持ってるよな。まあ気づいてたけど」
「気づいてたの?」
「なんだ、華も気づいてたんじゃん」
「いや、別にそういう訳じゃ…」
私って思ったより感情が表に出てるのかな。
「俺と桜なら、相談乗るからな」
「…ありがとう」
渋々そう言うと空君は右手でグッドポーズをして笑顔を見せてくれた。
なんだかこの一日がものすごく長く感じた。まだ家じゃないのに気が抜けていくのを感じた。暫く歩くと電柱に男女二人の影があるのを見つけた。それは私達をまつ雪君と桜ちゃんの影だった。ふたりは私達を笑顔で手を振り出迎えてくれた。
二人には中々見つからなかったと、空くんが適当な理由をつけておいた。
『華起きて。体が冷えるよ』
夢うつつの中、雪くんの声が遠くに聞こえる。体を揺さぶられて、私は目を覚ました。いつの間に寝てしまっていたんだろう。
ここは…ゆきくんの部屋のベランダかな。目の前の植木鉢にはアガパンサスが植えられている。それはきれいな花が咲いている。寝起きの私にとってこの日差しは眩しすぎるほどだったので手で太陽を隠す。
日差しの割に気温は低く、体が冷えている。
『入っておいで。ココア入れてるから』
意識が朦朧としていて声が朧気に聞こえる。
部屋の中に入り、雪くんが入れてくれたココアを一口すする。
私が何をしたのかわからないけど、雪君がくすくすと笑っている。訳を聞くと、どうやら鼻の先にココアがついているらしく、それがおもしろかったらしい。
『そうだ。今日こんなの買ったんだ』
『なに?』
雪くんが席を去り、冷蔵庫から何かを持ってきた。
『じゃーん。ホイップ』
『おー。すごい。その形のやつスーパーでしか見たことないよ』
雪くんが持っていたのは、業務用スーパーで見かけるホイップクリーム。空気が抜かれておりパンパンの状態だ。クレープとかのトッピング使うのをよく見るあのチューブ型。
『これ入れたら美味しいかなって』
言いながら雪くんは私のココアにホイッを入れていく。表面がホイップで覆われ、見るからに美味しそうだ。
『うん。美味しい』
感嘆の一言に尽きる。プラスとプラスがマイナスに働くわけがない。
『そう。良かった。これ、桜と空も喜んで飲むよね。みんな甘いもの好きだし』
『絶対好きだと思う』
「…はっ?!」
び、びっくりした。夢か。夢を見ていたら落ちて目が覚める、あの現象だ。新年早々肝が冷えた。初夢…見たんだ。もう夢の記憶がぼんやりとしている。
リビングから雪くんの声がする…?あれ?ここよく見たら雪くんの家だ。ドアの位置が私の家と逆…。多分ここは玄関を入ってすぐの右の部屋。なんで私雪くんの家にいるんだろう。
「それもそうだな。まあどっかの誰かさんがはぐれてくれたおかげで、こうやって話もできたし」
「空くん」
私は頬を膨らませる。空くんは悪い笑顔で笑った。
「そう言えばお前雪のこと好きなのか」
ふたりのところへ戻る途中、ふとした時に空くんが口を開いた。私は思わず動きが止まった。
「べ、別に好きじゃ…」
「桜も中々いい観察眼持ってるよな。まあ気づいてたけど」
「気づいてたの?」
「なんだ、華も気づいてたんじゃん」
「いや、別にそういう訳じゃ…」
私って思ったより感情が表に出てるのかな。
「俺と桜なら、相談乗るからな」
「…ありがとう」
渋々そう言うと空君は右手でグッドポーズをして笑顔を見せてくれた。
なんだかこの一日がものすごく長く感じた。まだ家じゃないのに気が抜けていくのを感じた。暫く歩くと電柱に男女二人の影があるのを見つけた。それは私達をまつ雪君と桜ちゃんの影だった。ふたりは私達を笑顔で手を振り出迎えてくれた。
二人には中々見つからなかったと、空くんが適当な理由をつけておいた。
『華起きて。体が冷えるよ』
夢うつつの中、雪くんの声が遠くに聞こえる。体を揺さぶられて、私は目を覚ました。いつの間に寝てしまっていたんだろう。
ここは…ゆきくんの部屋のベランダかな。目の前の植木鉢にはアガパンサスが植えられている。それはきれいな花が咲いている。寝起きの私にとってこの日差しは眩しすぎるほどだったので手で太陽を隠す。
日差しの割に気温は低く、体が冷えている。
『入っておいで。ココア入れてるから』
意識が朦朧としていて声が朧気に聞こえる。
部屋の中に入り、雪くんが入れてくれたココアを一口すする。
私が何をしたのかわからないけど、雪君がくすくすと笑っている。訳を聞くと、どうやら鼻の先にココアがついているらしく、それがおもしろかったらしい。
『そうだ。今日こんなの買ったんだ』
『なに?』
雪くんが席を去り、冷蔵庫から何かを持ってきた。
『じゃーん。ホイップ』
『おー。すごい。その形のやつスーパーでしか見たことないよ』
雪くんが持っていたのは、業務用スーパーで見かけるホイップクリーム。空気が抜かれておりパンパンの状態だ。クレープとかのトッピング使うのをよく見るあのチューブ型。
『これ入れたら美味しいかなって』
言いながら雪くんは私のココアにホイッを入れていく。表面がホイップで覆われ、見るからに美味しそうだ。
『うん。美味しい』
感嘆の一言に尽きる。プラスとプラスがマイナスに働くわけがない。
『そう。良かった。これ、桜と空も喜んで飲むよね。みんな甘いもの好きだし』
『絶対好きだと思う』
「…はっ?!」
び、びっくりした。夢か。夢を見ていたら落ちて目が覚める、あの現象だ。新年早々肝が冷えた。初夢…見たんだ。もう夢の記憶がぼんやりとしている。
リビングから雪くんの声がする…?あれ?ここよく見たら雪くんの家だ。ドアの位置が私の家と逆…。多分ここは玄関を入ってすぐの右の部屋。なんで私雪くんの家にいるんだろう。