カクレンボ
 この学校という枠組みでできた友情が、全員と大人になってまで続くなんてありえない。ほんの1握り。いないかもしれない。

 同性と仲良くなっても、この高校生活を楽しむためのレッテルであれば、それは友情じゃなくて協力関係。そこに純粋な友情を楽しむ心なんてない。私からすればそんなもの邪。

「雪くんは、隠してるの?」

「華は?」

 私は隠しているのかな。みんなで一緒にいたいっていう願いのために、何かを置き去りにしてはいないかな。あのふたりが付き合ったからと言って、別に4人で集まれなくなるわけじゃないけど、やっぱり純粋な関係とは言えないって、私は思う。

「私……」

 自分では、わからない。他の人に言われてもわからない。それは本当に存在するのかな。でも今の私には、少なくとも心当たりは……。


「…わかんない」

「いつか出てくるかもね」

「……もしそうなったら、わたしたちはバラバラになる?」

 そんな結果論のことなんて、誰にもわからないのに、どうして人に答えを求めようとするんだろう。聞いたところで、返ってくる答えもわかっているはずなのに。

「大丈夫。でも不安なら僕じゃなくてあのふたりに相談したほうがいいと思うよ。僕たちよりも全然そういうことには詳しそうだし」

 確かに、もうあのふたりは私達の知らない関係のことを知っている。わたしたちで憶測を建てるより、ちゃんとした経験者たちに聞いたほうがいいかも。

「僕も桜に聞いてみるよ。今日話聞いたから」

 ってなると、わたしは空くんに聞こうかな。大晦日の日にも話してるし。

「私も2人になれたら空くんに聞いているね」

 空くんにだけ仲間はずれになっちゃいそうなのは私的にあんまし嬉しくない。というのも、私が空くんに相談しようと決めた理由の1つ。
< 67 / 69 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop