柳の木の下で貴方が言葉を拾ってくれた
蓮二の監視が続いていた2週間後のこと。
季節が変わり肌寒くなっていた頃、朝目覚めると蓮二の姿が見当たらない。置き手紙もなければスマホに蓮二からの連絡は一切ない。
少しホッとして冷蔵庫からペットボトルの水を取り出し、喉を潤した。そして、冷蔵庫に水を戻すとインターホンが鳴る。
蓮二が帰ってきたのだと思い、重い足取りで玄関に向かいドアを開けるとそこに立っていたのは蓮二ではなく海さんだった。
「怜、おはよう」
「おはようございます。あの、どうしたんですか?」
「ん?蓮二から聞いてねーの?」
なんの事か分からずハテナマークを浮かべていると、マジかとちょっと呆れたような顔をした海さんが説明をしてくれた。
「蓮二いないだろ?」
「え、はい」
「アイツ、ここ2日間は帰れねー用事があるんだわ」
2日間ということは学校がない土日の間ということ。
「用事というのは…?」
「悪いが言えねー」
「…そうですか」
私は蓮二の傍にいながら蓮二のことを何も知らない。蓮二に聞いたところで話してくれるとは思わないけど、何だかそれは寂しさを覚える。
少し落ち込んだような表情を見せた私に海さんは知ってか知らずか話を続けた。
「蓮二がいない間、俺と那智が面倒見ることになっててな。それで今日、ここに来たってわけ」
「私は別に逃げるつもりもないですし、海さんや那智さんに迷惑をかけるつもりはありません」
「怜を信じてないわけじゃねーが、俺等が蓮二にシバかれるんだよなー」
蓮二がいない間は海さんと那智さんが私の監視をするということか。
「ってことで、蓮二がいない2日間、アジトか那智ん家かで泊まることになってるだ。その為に迎えに来た」
「泊まる?お2人と、ですか?」
「そう、2日間な。心配すんな。襲うとかしねーし、そんなことしたら俺等が蓮二に殺されるし。まぁ、そーゆーことだから、用意してくんね?ここで待ってる。必要最低限でいいぞ。なんか買うもんあったらその時にでも買えばいいし」
急にそんなことを言われても…と思う。
何故蓮二は言ってくれなかったのだろう。言ってくれたら準備を前もってするのに。
私が蓮二に逆らうような真似はしないのに。