柳の木の下で貴方が言葉を拾ってくれた



「怜」

「はい」

「アジトか那智ん家どっちがいい?」

「え?」

「泊まるところだよ。アジトには一応シャワーとかあるし数日くらいなら泊まれるようにはなってんけど、快適なのは那智の家だな」



私はどちらでも構わないけど…。



「那智さんは迷惑ではないですか?その、親御さんとか…」

「アイツ、一人暮らしだから問題ねーよ」



海さんの声が先程よりもトーンが落ちたため、少し心苦しくなった。

私に事情があるように那智さんにだって事情がある。

海さんは那智さんの事情を知っているから、今こうやって普通に話しているんだと思うけど、初めて聞かされた私はどうしたらいいのか分からなかった。


「別に気にするな、と軽くは言えねーが、お前がそんなに考え込む必要もない。これは那智の問題だ。他人が気安く関わってもいいことでもない。俺達はただ、那智といつも通り笑えたらそれだけいい」


海さんの言う通り。


一緒に笑えるだけで、一緒にいるだけで、それだけで救われる人はいる。あとは自分の問題にちゃんと向き合っていくのかは己次第ということ。



「んで、どっち?」



さっきまで心苦しく、名言ふうに語っていた海さんが、先ほどと打って変わって軽いノリで私に問掛ける。驚いてみせる私に海さんは気づいて続けた。



「こーゆー空気苦手なんだわ。まぁ、急かすつもりはないからアジト行くまでには考えといて」


考えておくっていうのは泊まる場所のところだろう。私じゃなくて海さんが決めたらいいのに。



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