首取り様1
喧嘩なんてしたことがない。


誰かを物理的に傷つけたことだってない。


でも……!


持っていたのは慎也に貸してもらったバッドだった。


記念にもらったというサインバッド。


『汚してもいいからな』


慎也はそう言って、渡してくれた。


本当だったらそんなのいらないと突き返したところだけれど、今は事態が事態だった。


この黒い化け物と自分が対決しないといけない時が来るかもしれないんだと、その時に腹をくくったのだ。


だから……もう逃げない!


「あああああああ!!」


明宏は悲鳴を上げながらバッドを振り回した。


がむしゃらに空を切り裂く音が響く。


「くそっ! くそっ! くそっ!」


僕はこんなところでこんな化け物と戦って、一体なにをしているんだ?
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