ゆびきりげんまん
 終業のベルがなった。

 ともちゃんの方を見ると、


「行っておいで」


 とともちゃんは笑ってそう言った。

 私は、「行ってきます」と神妙に答えた。

 そんな私にともちゃんは笑って、ぽんぽんと私の肩を叩いた。


「さあ、王子が待ってるよ!」

「そうだね! 行ってくる!」


 私は駆け出すように教室を飛び出した。

 今日は走ってばかりの日だな。

 外は雨が降り出していた。

 葵君が体育館裏で待ってる時に降らなくて良かったと思いながら、スケートリンクへ向かった。

 電車に乗っている時間が惜しいほどにもどかしい。

 葵君はあれからどうしたんだろう? 今日は六限あったのかな?

 ずいぶん待たせてたら申し訳ないな。
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