ゆびきりげんまん
懐かしい公園でのひととき
幼い時に葵君と遊んだ公園は、私にとってかけがえのない大切な場所。
小さな時は広く感じていた公園は、今ではこじんまりとした感じがする。遊具も鉄棒と二つのブランコ、砂場しかない。
高校生になっても時々この公園に来て、ベンチで紅茶を飲むことがある。昔の自分と葵君の姿を、遊んでいる小さな子供たちに重ねて昔を思い出し、幸せになれる時間。
その日も電車でともちゃんと別れてから、自動販売機で買った紅茶の缶を手にその公園を訪れた。
いつものベンチを見ると、そこには先客がいた。
途端に心臓が早鐘を打つ。座っていたのは葵君だったのだ。
「羽田君」
私はおそるおそる声をかけた。
「あ、日向先輩?! こんにちは」
私に気付いた葵君は笑顔を浮かべて私を見たが、なんだか元気がないように見えた。
「どうぞ」
促されるままに隣に腰をおろす。葵君の隣に座るというだけで、緊張で呼吸が早くなる。
「日向先輩もここに来る時あるんですか?」
「うん……たまに。羽田君をここで見かけるのは珍しいね。今日は練習はないの?」
「本当は行かなきゃいけないんですけど、今日はなんだか行きたくない気分で……」
「そっか。そういう日もあるよね」
私は葵君のかわりに笑ってみせた。葵君も少し笑顔を見せたけれど、やっぱりいつもの葵君ではない気がした。
私はなんて言葉をかけていいか分からなかった。しばらく黙って私と葵君は遊び回る子供たちを見ていた。
「僕たちもここでよく遊びましたね」
葵君の言葉に私は少し嬉しくなった。覚えていてくれたんだ、葵君。
「そうだね」
「砂場でお城作ったりしたなあ」
「羽田君、作った後はすぐに壊しちゃってたよね」
「それは……。完成すると終わってしまいそうで嫌だったんです」
「終わる?」
「……いえ、なんでもないです」
葵君はそう言うと目を伏せた。
小さな時は広く感じていた公園は、今ではこじんまりとした感じがする。遊具も鉄棒と二つのブランコ、砂場しかない。
高校生になっても時々この公園に来て、ベンチで紅茶を飲むことがある。昔の自分と葵君の姿を、遊んでいる小さな子供たちに重ねて昔を思い出し、幸せになれる時間。
その日も電車でともちゃんと別れてから、自動販売機で買った紅茶の缶を手にその公園を訪れた。
いつものベンチを見ると、そこには先客がいた。
途端に心臓が早鐘を打つ。座っていたのは葵君だったのだ。
「羽田君」
私はおそるおそる声をかけた。
「あ、日向先輩?! こんにちは」
私に気付いた葵君は笑顔を浮かべて私を見たが、なんだか元気がないように見えた。
「どうぞ」
促されるままに隣に腰をおろす。葵君の隣に座るというだけで、緊張で呼吸が早くなる。
「日向先輩もここに来る時あるんですか?」
「うん……たまに。羽田君をここで見かけるのは珍しいね。今日は練習はないの?」
「本当は行かなきゃいけないんですけど、今日はなんだか行きたくない気分で……」
「そっか。そういう日もあるよね」
私は葵君のかわりに笑ってみせた。葵君も少し笑顔を見せたけれど、やっぱりいつもの葵君ではない気がした。
私はなんて言葉をかけていいか分からなかった。しばらく黙って私と葵君は遊び回る子供たちを見ていた。
「僕たちもここでよく遊びましたね」
葵君の言葉に私は少し嬉しくなった。覚えていてくれたんだ、葵君。
「そうだね」
「砂場でお城作ったりしたなあ」
「羽田君、作った後はすぐに壊しちゃってたよね」
「それは……。完成すると終わってしまいそうで嫌だったんです」
「終わる?」
「……いえ、なんでもないです」
葵君はそう言うと目を伏せた。