悪役令嬢の幸せ愛人計画〜王太子様に(偽)溺愛されています〜

縛り付けていられる

「まあ、コルネリウスには充分気を付けてね。あのまま襲われていた可能性だってあるんだし」
「分かりました」

 ユリアーネは頷いた。第二王子が第一王子の愛人を襲うとは醜聞もいいところだが……、不法侵入している時点で、コルネリウスに対しての信用は無いに等しかった。

「飲むかい?」
「頂きます」

 リーヴェスからワイングラスを受け取り、ユリアーネは一口含む。リーヴェスもリラックスした雰囲気で、ワイングラスを呷る。
 あまり行儀を気にしていないのか、少し雑ではあるのだが。

「美味しい……。リーヴェス様はお酒強いんですか?」
「うーん、酒豪って程ではないけれど、強い方ではあるかな?ユリアはどうなんだい?」
「私は普通ですね。元々パーティーでも勧められたら、飲むくらいで……」

 そして、ハッと気付いて一瞬固まった。

「パ、パーティーって言っても、お、お貴族様みたいな感じじゃなくて、あの!」

 額に冷や汗を滲ませながら慌てるユリアーネに、リーヴェスはおかしそうにクスリと微笑んだ。

「分かってるよ」
「で、ですよね……」

(危ない……うっかりとんでもない事を言ってしまいそうだったわ……。酔わないように気を付けなきゃ)
 人目は少ないが、ユリアーネを注意深く見る人間は多い。ボロが出ないようにしなければ。
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