悪役令嬢の幸せ愛人計画〜王太子様に(偽)溺愛されています〜
 ワインをまた口に含み、微妙になってしまった空気を変えるようにユリアーネは口を開く。リーヴェスはもう既に2杯目を空けていた。

「そういえば、コルネリウス様は女性に困ってはいないそうですね。リーヴェス様もそうなのでは?」

 ワインボトルを傾けながら、リーヴェスは答える。

「うーん、まあ、そう言われたらそうだね。俺が王太子っていう地位だからというのもあるだろうけれど」

 ほんの少しだけ、紅色の瞳が翳った。
 ユリアーネは不思議そうに目を瞬かせた。
(あれ……?)

「では、私の他にも協力してくれる女性は居たのでは?」

 ユリアーネの言葉に3杯目を呷ったリーヴェスは、瞳を細める。湿った唇をペロリと舐めて、グラスを置く。ユリアーネの顎を掴んで上に向かせた。

「え……?!」

 そして、噛み付くように唇を重ねる。とても強いお酒の匂いがした。しばらく唇を合わせていたが、ゆっくりと離れる。
 少しだけ息を乱したユリアーネの耳元で、リーヴェスは掠れた声で囁いた。

「お金で買った方が、俺を裏切る事無く、君を縛り付けていられるだろう?」
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