一途な淫魔の執着愛〜俺はお前しか一生抱かない〜
 悠夜は物腰も柔らかく、話し方も優しい、おまけに若い。年齢は聞かなかったものの予想するに二十代前半あたりじゃないだろうか。


(悠夜さん凄いいい人オーラが出てたなぁ、あいつとは大違いだわ)


 ステージ上で女性の視線を集めているあいつとは大違い。


「日和、さっき若いイケメンに話しかけられてなかった?」


 誰よ、誰よ、と綾乃の顔に書いてある。


「ここの会員さんだって。ケーキが好きで気に入ったから今度店に買いにくるって言ってたよ」
「なんだ〜ケーキを気に入ったのね、残念っ」
「残念って何よ、嬉しいじゃない、一人でも多くの人にうちのケーキを気に入ってもらえて」


 それがまずこのイベント企画に参加した理由なのだから。


「ですね。じゃあ片付けて帰ろっか、お兄ちゃん一人で店番も心配だからね」
「だね」


 残ったケーキはパピフルの社員の方が後でたべるからと洸夜が言っていたので箱に詰めておく。とはいえたくさん持ってきたケーキもほとんど無いのであっという間に片付いた。


「日和!!!」


 大きな声で名前を呼び主は洸夜だ。機嫌が悪いのか名前を呼ぶ声に棘があった。ズンズンと早足で日和の前に立つとギュッと手を捕まれ力が強くて振りほどけ無い。


「おい、お前、日和の事は借りていくからな。しばらく戻ってこないから先に帰っていてくれ」


 綾乃はニヤニヤしなが「はーい、ごゆっくり〜」なんて帰り支度をしている。


「ちょっと! 何言ってるのよ! は、離してよっ」


 握られた手は離れようとはせず「こっちこい」と引っ張られるしまつだ。


(なんで怒ってんの? イベントは成功したはずなのに)
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