一途な淫魔の執着愛〜俺はお前しか一生抱かない〜
「寝室どこなのよ」
「ん、奥の……部屋」


 話すのも辛くなってきたようだ。ずるずると引きずり歩いてやっとベットまで辿り着いた。
 ベットの上に寝転んだ洸夜は小さな子猫のように背中を丸めて小さくなっている。


「ちゃんと布団かけて寝なさい」
「ん」


 返事をするわりに動かない。「もう……」そう言いながらも布団を掛けてしまっている自分。もしかして母性本能というやつだろうか? だからこんなにも心配になるのだろうか。なんだか無性に洸夜のことが心配で何かしてあげたくなってしまう。


「なにか起きた時に食べれるよに作っておくから……」
(って、なんにも私買ってきてないじゃない!!!)


 洸夜に会いたいと思う一心で急ぎすぎていた。風邪を引いてる人になにも買ってこないなんて有り得ない。いつもならこんな失敗しないのに。何かを買っていくことも頭から抜け落ちるくらい心配で急いでいた。


「え……」


 布団の隙間から力無く伸びてきた腕は日和の手を握りしめた。握られている手は熱にうなされ弱々しいはずなのに指先にはぐっと力が入っており「逃さない」と指の先から伝わってくる。


「……行くな」


 言葉使いはいつもと同じなのにいつものような自信満々の声ではない、小さな子どものようなか細い声。


「こっちに来て」


 魔法のような言葉に誘い込まれる。握られた手から洸夜の熱が感染ってしまったのかもしれない。身体の内側からジワジワと熱く、心臓の動きもドクドクと早まって来た。

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