イジワルな君の一途で不器用な恋心

心の声は当然届くはずはなく、仲睦まじく体を寄せ合うと、建物の陰に消えていった。


……どうしよう、これ。


体操服が入ったトートバッグに視線を落とす。


昇降口で三原くんにバッタリ会って。

『家の手伝いで急いで帰らないといけないから、代わりに届けてやってくれない?』と言われて、渋々引き受けた。


一応連絡はしてるそうだけど……あんなの見たあとに、平常心で顔なんて合わせられないよ……。


信号が変わる前に踵を返して駅へ。

【また忘れるといけないから直接家に届けておく】とメッセージを送った。







翌週、3連休明けの火曜日。



「……なんだ、それで帰ったのか」

「……うん」



駅のホームで合流し、先週カフェの前で見た光景を伝えた。



「どんな様子だった?」

「普通に、飲み物買ってた」

「接客はしなかったの?」

「バックヤードにいたから。一瞬目が合ったけど、バツが悪そうな顔ですぐ逸らされて。バイト終わったら『ごめんなさい』ってメッセージ入ってた」
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