イジワルな君の一途で不器用な恋心
心の声は当然届くはずはなく、仲睦まじく体を寄せ合うと、建物の陰に消えていった。
……どうしよう、これ。
体操服が入ったトートバッグに視線を落とす。
昇降口で三原くんにバッタリ会って。
『家の手伝いで急いで帰らないといけないから、代わりに届けてやってくれない?』と言われて、渋々引き受けた。
一応連絡はしてるそうだけど……あんなの見たあとに、平常心で顔なんて合わせられないよ……。
信号が変わる前に踵を返して駅へ。
【また忘れるといけないから直接家に届けておく】とメッセージを送った。
◇
翌週、3連休明けの火曜日。
「……なんだ、それで帰ったのか」
「……うん」
駅のホームで合流し、先週カフェの前で見た光景を伝えた。
「どんな様子だった?」
「普通に、飲み物買ってた」
「接客はしなかったの?」
「バックヤードにいたから。一瞬目が合ったけど、バツが悪そうな顔ですぐ逸らされて。バイト終わったら『ごめんなさい』ってメッセージ入ってた」