イジワルな君の一途で不器用な恋心
「っ、なら、どうして。他の子に頼めなかったの?」
「…………私が行くしかなかったんです」
震えた声で答えると、スカートをギュッと握りしめた。
黒目がちの瞳が揺れていて、感情が溢れるのを必死にこらえているようにも見える。
どういうこと……?
あそこ、一見さんお断りのお店じゃないよね?
会員制でもないし、全メニューもみんな平等に注文できるし、テイクアウトだって……。
戸惑っていると、ゆっくりと顔が上がり、黒目がちの瞳と視線がぶつかった。
「……そういう先輩は、どうなんですか?」
「えっ……どう、って」
「あそこの通り、いつも使ってる通学路じゃないですよね? 何か用事がない限り、通りかからないと思いますけど」
「っ……」
早口でまくしたてられ、言葉が詰まる。
瞳は今にも泣き出しそうなくらい潤んでいるのに。声色は怒りに満ちている。
「……忘れ物を、届けてって、頼まれて」
「なんだ、先輩も一緒じゃないですか」
「っでも、家に届けたから……」