イジワルな君の一途で不器用な恋心
「いやっ、そんなこと」
「もういいです。先輩の気持ちはよくわかりましたから。貴重な時間使わせてすみませんでした」
「っ、ちょっと待っ」
「放してくださいっっ!」
立ち去ろうとする彼女の腕を掴むも、振り払われてしまった。
「私がどんな気持ちで引き受けたか知らないくせに」
限界に達した瞳から大粒の涙がこぼれ落ちた。
◇
「──はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
翌日、水曜日の午後4時25分。
静寂に包まれたカフェのカウンター席で、春岡さんからコーヒーを受け取った。
「すみません、定休日なのに」
「いいのいいの。私がごちそうしたかっただけたから」
柔らかい笑顔でそう言う彼女に「ありがとうございます」と再び頭を下げ、マグカップに口をつける。
横断歩道で信号待ちしていたら、突然後ろから声をかけられて。
これから買い物に行く予定だったらしいのだけど、私の顔色が悪いのを心配し、特別に中に入れさせてもらったのだ。