闇に咲く華ー偽りの華ー
「姫は大樹の母、姫野莉依のことや。昔、俺らが鬼龍を仕切ってるときにな、姫という枠があんねんけど、そこに姫ちゃんが入ってん。それの名残で俺らは姫って言っててん。」
姫って、確かその総長の女だよね?
「莉依さんは、礼さんの彼女だったんですか?」
私の一言が衝撃的だったのか、礼さんは一旦固まったあと吹き出した。
「あかーん!そんなんちゃうわ!!姫は翔樹の彼女や!翔樹が総長で、俺と晶と慶一郎が幹部。」
そんな話が翔樹の耳に入ったら、殺されるだけでは済まされん!
俺にも唯一無二はおるわ!
そう叫びながら大笑いの礼さん。
これは恐がってんの?
それとも面白がってんのか?
「し、失礼しました。礼さんは当時の幹部だったのですね。」
「あー、ごっつ笑うたわ。なんや、あの頃みたいや。」
礼さんの言葉に、私は訳がわからず?が頭の上で飛び交っていた。
「結月ちゃんが、姫ちゃんと重なるんや。」
思わず固まってしまった。
私という存在が莉依さんと重なる…。
一体、どういうことなのだろう。
「まー、俺らんとこに来る女は何かしらの闇をもってるからなぁ。」
その言葉にドクンと胸が嫌な音をたてた。
それは、私に何かしらの闇があるって言いきっているもの。
表情では汲み取れなくても、言葉で伝わってくる。
まるで、何者なんだと言われているようでー…。