闇に咲く華ー偽りの華ー
「俺らがそうする前に、翔樹の倅がそうするんやろな。安心しいや?あいつらは助けを求めれば、どんな状況でも助けてくれんで。」
「どんな状況でも…。」
私の置かれている状況を打破できるかもしれない…?
でも…こんな明るい場所にいる人たちを巻き込めない…。
「今すぐとは言わへん。時が来たときに話せばええ。」
それだけ受け止める器が大きいっちゅーこっちゃ。
そうオチャラけて言うと、礼さんは何かに気付いた。
「もぉ1時間経ってしもうたか。」
礼さんが見た方に振り向くと、仁くんと詩月が立っていた。
状況を飲み込めている詩月と、飲み込めていない仁くん。
まさかこんな短期間でここまで気に掛けてくれる仲になるなんて、私でも驚きだ。
そんな2人を引き連れ長い廊下を歩いて玄関に向かう。
すれ違う組員さんたちに挨拶しながら思う。
忙しい中、私のことを預かってくれてるんだ。
申し訳なさが増す中、礼さんは私の肩にポンと手をのせた。
「また来いや!」
礼さんは先ほどのニカッと白い歯を見せながらではなく、綺麗な笑顔で送り出してくれた。
本当は礼さんも忙しいはずなのに、私といてくれたのはきっと細やかな気遣いだろう。
後ろから晶さんが仕事を急かしながらも、焦る様子もなく玄関を出るまでその場にいてくれた。
本当、私の周りは暖かい人たちばかりだわ。
曇りそうな顔を何とかして笑顔を貼り付ける。
「また明日。」
私はそう言って清宮を出た。