闇に咲く華ー偽りの華ー
清宮から鬼龍に戻る前に、夕飯の買い出し。
なんと仁くんと詩月が当番なんだとか。
ジャガイモに人参、玉ねぎ、ひき肉…。
なぜカレーライスにひき肉を使うのかと思っていると、詩月が答えを教えてくれた。
「大樹さんの好みなの!」
なんと、大樹の好みでした。
固くなってしまう豚肉こまはカレーには入れたくない派のようね。
思わず笑みがこぼれてしまった。
「結月さんって、綺麗に笑うんっすね!」
「そうなのそうなの!!綺麗でしょ?自慢なのよ!」
まさかの素を出してしまっていた。
そんな自分に驚く。
だってまだここに来て4週間経つか経たないか。
いとも簡単に仮面を剥がされた気分だ。
「詩月、そんなに褒めても何も出ないわよ?」
「お姉ちゃん、照れてるの?」
「わー、もしかして俺らが初めて結月さんの笑顔を見た!?そして照れてる顔も!?」
ヤベー、総長に知られたら殺されそう。
興奮しながらも楽しそうに言う仁くんは、ちっとも恐くないと言わんばかり。
「わ…私は見せ物じゃないわよ?そんなことで盛り上がらないでよ。」
2人は、まーまーと言いながらもニヤリとこちらを見てくる。
なんだかソワソワしてしまう。
だって、今までこんなこと無かったもの。