闇に咲く華ー偽りの華ー
「地域を越えて、守れるものは様々な形で守りたい。それがお前のお袋さんの原動力なんだ。お前もそうだろ?本当にお前は、翔樹と莉依を足して2で割った感じだから、良いところも悪いところも全て2人と一緒で分かりやすいんだよ。」
そう言って笑う大和さんは大樹の頭をワシャワシャと撫でる。
「ま、俺は見守るよ。どうしても力が必要なら、姫野も清宮も力になるさ。それは結月ちゃんもだから。清宮も姫野も、独りなんかにはしないさ。」
じゃ、仕事があるから退散するなー!と手をヒラヒラさせながら大和さんは鬼龍を去っていった。
「独りなんかにはしない…か。」
「悪いな、お袋が煩くて。寝れなかっただろ?」
申し訳なさそうにいう大樹に思わず笑ってしまった。
普段ぶっきらぼうなのに、珍しくシュンとしてる。
「ううん。むしろ、スッキリ起きれたよ。莉依さんたちまでにも心配させて、申し訳ないくらいだよ。」
「ならいいんだが…。」
何だか大樹、過保護になりつつない?
前までは雑に扱ってたのに…。
だけど、自然と顔が綻んでいる。
私は心から貴方の事が…。
この空間や雰囲気に慣れすぎてしまい、気を抜いてしまっていた。
闇が刻一刻と迫ってきて、鬼龍の皆や姫野、清宮の人達を巻き込んでしまう事になってしまうなんて…。
私は知らなかった。
知っていたら、この想いも大切にすることなんて無かったのに―…。