素直になれないツンデレ王女はこわもて護衛騎士に恋をする。年の差20歳はダメですか?
「い、いけません、いけません。ダメです、そんなことをなさっては」
「なぜです? 私のせいで怪我をされたのに」
「それは、わたしはあなたの護衛騎士として当たり前のことをしたまでです」
「でもそのために死んでしまっては、なにもなりません」
「このぐらいでは、死にはしません」
「でも……」
私は先ほどまでの光景を思い出す。
あの血と炎の海の中には、何人もの人が動かなくなっていた。
どれだけの人が亡くなったのか想像もつかない。
お母様は他の護衛騎士と逃げて無事なのだろうか……。
でもあの馬車の中には、あの血の海の中には母の姿はなかった。
だからきっと生きている。
そう思いたい。