俺の世界には、君さえいればいい。




悲しかった。


あの日、試合のあと。

私が止めなかったことに声を上げて怒った横山さんは、本当に櫻井くんのことを心配してるんだろうなって感じたから。


その心配すらも、こんな欲にまみれた計画のためだけの嘘だったんだと思うと悲しくてたまらなかった。



「結局そいつは櫻井と知り合いだったからか知らないけど断裂させれなかったし。
櫻井は勝っちゃうし、あの地味女は邪魔してくれるし!ほんとゴミ!!」



許せない…。

どうしてそこまでみんなに酷いことが出来るの。



「あの地味女のクラスにもあたしの下っぱがいるはずなのに、ぜんっぜん変化ないしさぁ。ちゃんといじめれてんのかって話」


「あははっ、いじめてれんのかって。そんな質問きいたことないんだけど!ちょーウケる」



それを聞いてすぐに思い浮かんだのは後藤さんだった。

彼女も試合のときの相手選手と同じで、なにかの報酬の上に横山さんに動かされているひとりだったんだと。


どうしてそこまでひどいこと……。

でもそれは私にも当てはまるような気がした。そうしているのは私も同じなんじゃないかって。


そもそも私が櫻井くんの近くに居なければ、みんなが負わなかった怪我なのだから。



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