俺の世界には、君さえいればいい。




唇と唇が合わさる寸前、押し返すように由比さんなりの抵抗がされた。

顔も勢いよく逸らして、俺を精一杯に弾き返した。


拒否……された……。


そうされるとは思っていなかった。

だって俺と関わるときの由比さんは、いつも期待しているから。

そんなふうな目でいつも俺を見ていたから、俺だっていつも応えたいと思ってた。


俺が嫌いだった他の女子からの期待とはまったく違う、それはドキドキを生んでくれるものだった。


そんな俺の期待も生んでくれるものが、今までの由比さんの目だったはずなのに。



「…俺のこと……きらい、なんですね」


「っ、ち、ちが…っ、」


「いいんです。俺のほうこそ…困らせてしまってごめんなさい」



どうして泣いてるんだ。

そこまで嫌だったのなら、もっと早く言ってくれれば良かった。


こんなにも無理矢理しようとした俺も自分に腹立たしいし、ここまで泣かせてしまったことにも。



「……た、楽しかったです、すごく…楽しかった、」


「…由比…さん、」



本当に、これで終わるのか……?

本当に本当に、もう俺は由比さんと関われないのか…?



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