俺の世界には、君さえいればいい。
「そ、それに……嫌じゃ、なかったから…」
「……え?」
「えっ…」
「え…?」
そしてまた、「え」の繰り返し。
それでも本当に嫌じゃなかったのだ。
ファーストキス…初めてのキスが櫻井くんで、嫌どころか嬉しかった。
「…縛って、いいんですか、」
「え…!?そっち!?いやっ、そっちじゃなくて…!!き、キスの…ほう、」
「あっ、キスのほうか……キス……、
───っ!!!」
櫻井くんはどうやら、今はキスのことより縛っちゃったことにいっぱいいっぱいだったらしい。
それでもいま、そちらも思い出した途端に同じくらい真っ赤になって。
だけどそれに対して土下座はしなかった。
それどころか櫻井くんは顔を真っ赤にさせながらも私に近寄ってくる。
さっきのことがあったからか一定の距離を空けて、ベッドに腰かける私の隣に座った。
「っ、由比さん、」
そんなものが可愛く見えてしまって、そっと詰め寄ったのは私。
そうすると櫻井くんも距離を縮めてくる。
こつんと肩がぶつかって、恥ずかしさにうつむいてしまえば、覗き込んでくる櫻井くん。
「…好きです、由比さん」
「……へ、」
「由比さんのことは、婚約者じゃなかったとしても俺は好きになってます。
たぶん…笑顔に一目惚れで、…初めて話したときです、」