俺の世界には、君さえいればいい。




「あれ!?櫻井くんはまだ来てない!?」


「お~、来たねぇまたひとりの餌食が」



そんなことを考えながら卒業式のあと、静かに座って櫻井くんを待つ私がいる1年B組へ。

また息を切らしたような女の子がひとり入ってくる。


そんなものを見つめて「餌食」なんて言ったのはゆっこで、どうやらゆっこも何かを知っているらしいのだ。



「で?そっちはどのくらい頼まれたの?」


「んーっと、新聞部の生徒と…あぁそうそう。合唱部の声でかいやつ」


「おー、これはガチでやるつもりねあいつ」



私、ゆっこ、そして近くにはA組の伊藤 涼介(いとう りょうすけ)がいた。

彼は櫻井くんと仲がいい男の子で、そんな彼もゆっこと何かを企んでいるような不敵な笑み。



「笹倉さんは?」


「あたしはねぇ、1年屈指の情報通と、2年と3年のリア充な女子生徒数人」


「あーー、みんな騙されて来るわこれ」



騙されてるの…?

確かにもう、教室には数人の女の子が集まって身だしなみを整えている…けど。


櫻井くんがこの人たちを集めるように2人に頼んだってこと…?


でもどうして……?

なんか彼女たちを見ていると、告白現場なのかなって雰囲気なのですが…。



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