俺の世界には、君さえいればいい。
「お待たせ櫻井くん…!あれ…?櫻井くんは…?」
そしてまたひとりの女子生徒が追加。
何人呼んでるの、櫻井くん……。
それに彼女たちを呼んで何をする気なの、ちょっとモヤッとする…。
「なに、あんたも呼び出されたの?」
「そう、え、ナナも?」
「うん。え、もしかして複数告白……?マジ…?斬新~」
「どっちが振られても恨みっこナシだよ?」
え、そうなの……?
やっぱりそうなの……?
そこに混ざっている私はここで待ってて欲しいって言われたから待ってるだけなんだけど…。
不安になる私とは正反対の反応を見せるゆっこと涼介くんは、笑いをこらえるように机をバンバン叩いていた。
「涼介、ゆっこ、集まった?」
そしてようやく、ようやく王子様の登場だ。
いつ見ても格好いい櫻井くんは教室の様子を見て、そして私を見つけてホッと息を吐くように中へ足を踏み入れる。
それにいつの間にか“ゆっこ”と、私が名付けた愛称で友達を呼んでくれていることが嬉しい。
「おせーよ主計。てかさすがに集めすぎじゃね」
「いや、1度で済ませたいから」
「“噂を一瞬で広めてくれる生徒を集められるだけ集めて欲しい”って、雑すぎんのよ!」
「だってそれが目的なんだからそれしか説明の仕様がないだろ」