俺の世界には、君さえいればいい。
「…スカート……、やっぱり、元の長さに戻してくれませんか」
「へ…?スカート…?」
「もし階段とかで覗かれでもしたら…俺たぶん、そいつを半殺しにしてしまうと思うんで」
どういうこと……。
なんでスカートだけで人が生死を彷徨うことになるの……?
でもやっぱり、やっぱり……。
櫻井くんは人よりすこーし、過保護なところがあるみたいだ。
「う、うん…!戻します…!明日からっ、いつものスカートに…!」
「…ありがとうございます」
櫻井くんがお礼言うことなんてないのに。
じっと見つめてみると、ぷいっと顔を逸らされてしまった。
「うーーわーー、ムッツリぃ……。かなのが鈍感で良かったねぇ、ムッツリプリンス」
「……お前が男だったら俺は打ち込み台にしてる」
「ちょっ…!なによそれ…!!」
「だから喧嘩はだめ……っ」
また新しい櫻井くんの顔が見れた。
ただ、私を引っかけたクラスメイトが誰なのかって不安はあるけれど…。
でももしそんな人がいま現れたとしても大丈夫だって安心があるのは。
きっと櫻井くんが隣に居てくれる確信が私の中に生まれつつあるからだ───。