俺の世界には、君さえいればいい。




こうして頭を叩いてくるのは決して、女の子が憧れるシチュエーションをしているわけじゃなく。



「ぎゃははっ!!背丈も変わんねーわ!」


「……」



こうやって遊んでくるだけなのだ。

私は小学生の頃から晴哉くんのおもちゃ的な扱われようで。


……変わっていないのはあなたです、と。

小学生から内面の成長が止まってるんじゃないかなぁと。



「わ、わたし急いでるから…っ」



こんな再会はいらない…。

はやく櫻井くんのお化け姿を見たいのに…。


ここは逃げようと思っていると、なぜか私の手が掴まれていて。



「ちょうど一緒に来てた友達とはぐれちまったんだよな!案内しろよ由比!」


「ま、迷子センターは受付にあるから…!」


「いいじゃん!俺たち幼なじみみたいなもんだろ!」



ちがう、幼なじみなんかじゃない。

ただ同じクラスだった割合が多かっただけ。


だから高校で離れたとき、まずはすごい解放感があったんだよ。

自由だーって思ったの。



「離して晴哉くん…っ!」



お化け屋敷いきたかったのに…。

こんなところで時間をとる予定でもなくて。


教室に戻ったら「どこ行ってたの」って、クラスメイトに仕事を増やされちゃうかもしれない。



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