俺の世界には、君さえいればいい。
あれ…?ちがう……?
もういっかい応援の言葉が欲しいんじゃないの……?
えっと……どうしよう。
察するの私。
無表情だけど、櫻井くんが何を思って何を求めてるのかを読み取らなくちゃ。
「ふぁ、ふぁいと……!」
「……ふは…っ、」
「え、」
「ははっ、あははっ、ふぁいとって…!」
うそ、どうしよう。
こんなに笑ってくれるなんて、動揺よりも驚きよりも心の準備が出来てなかった…。
それに周りの女の子たちもレアものが見れたようにガン見してる…。
「なんか逆に気合いが入りました」
「え、ええと…」
「本当はもう1回…名前を呼んで欲しかったんです…けど、」
「…あっ!」
なにしてるの、私のバカ…。
そんなの考えなくても分かったことだ。
それなのに「ふぁいと」って……。
どうしよう時間を戻したい…っ。
「…勝ってきます」
「っ…!」
すると私の右手を一緒に握るように重ねられて、ぎゅっと力が込められた。
方針状態になりつつも顔を向けてみると、コクッとうなずいて応えてくれる。